三代目’s BLOG

居場所

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某雑誌の編集長を務め、現在は帝国DBの冊子でコラムを書いてみえる、島地勝彦氏が推薦した本を読んでみました。

小松由佳さん、「人間の土地へ」

この方、強烈にパワフルな女性で、エベレストに次ぐ標高で最難関の山、K2に登頂した登山家であり、シリア人の夫を持ち、シリア内戦を生き延びた方。現在は戦火を逃れ日本で暮らしてみえるようです。

雪山での凍死寸前の極限状態、シリアで出会った夫との幸せな時間、友人に騙されて全財産を失った事、混乱を増していくシリア情勢から日本へ渡るまでの苦労、日本に馴染めない夫との苦悩、子供といる幸せ、等々。

悲喜こもごもが、同じ口調で語られています。本当のノンフィクションというのは、こういうものか。

シリア内戦の事を理解したく、この本を手に取りましたが、現地の方は「内戦」とはとらえていないようで、未来をより良くするための「革命」の最中なのだという。

本の中で印象的だったのが、

せっかく命からがら、シリアを脱出して、隣国ヨルダンの、ザータリ難民キャンプにたどり着き、衣食住を保護されたにも関わらず、多くの人がシリアに戻ってしまうのだという。

身の安全、平和が一番だと考え、戦火を逃れた人々が、数週間で考えが変わってしまう。人間の居場所、「ここにいていいんだ」という感覚や「生きる意味」というのは衣食住だけでは満たされないという事だろうか。

それでも命と安全がまず一番と思う自分は、平和ボケしているのだろうか。