三代目’s BLOG

放置国家?

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昨年、名古屋の出入国在留管理局(入管)で病気の治療を受けさせてもらえず、死亡してしまったスリランカの女性のショッキングなニュースがありました。

日本に長期滞在する方は、就労、留学、難民等、個々の事情がありますが、この方は日本語教師を目指して来日するも、彼氏のDV被害にあい学校を退学、在留資格を失い、半年間収監。母国の実家を担保にしての来日だった為、母国にも帰れず日本に在留して再度勉強する事を希望してみえたそうです。

「ルポ入管」には、日本人なら目を背けたくなる実態が書かれています。

2020年の日本の難民認定率は、1.2%で、40%強の欧州と比べ突出して外国人の移住を受け入れない国だそうです。

紛争地域から正規のパスポートで逃げ出そうというのが無理があるとは思うのですが、理由が何であれ、在留資格がない人は全て不法滞在の犯罪者。保護する対象ではないという事なのでしょう。

本を読んでいて驚いたのは、在留資格がない外国人を保護する法律が日本には、ない、という所。基本的人権も及びません。

日本は法治国家のはずですが。。。

在留資格を与えるかどうかは、法務大臣の一存で決まります。

本は常に収容されている外国の方の気持ちに寄り添った内容なのですが、これでは入管で働く人たちも大変だなと思います。これじゃ、現場任せの放置国家。

かつて、バブルに沸いて人手不足だった際は、「在留特別許可」を多発し、非正規労働にも寛容だった日本ですが、「技能実習」という、外国人の就労ルートを作ってからは、ビザのない外国人は、紛争地域だろうが、強制的に送り返す方向へ転換しています。国外退去を拒んだ人間は無期限に拘束される事態になっており、拘束中に精神と肉体に異常をきたす人が増えているとのことです。大臣が認めなきゃ、自国へ帰ってもらわないと収容者が増える一方ですから、収容者と入管の我慢比べの様相です。

事態の打開に向け、政府は入管法改正案を国会へ提出しましたが、その内容は、「国外退去を拒んだ者には刑事罰を科す」という、より強力なもので、人に危害を加えていなくても犯罪者になってしまいます。

※ちなみに、この改正案は一旦、持ち越しになりました。

日本語検定N2の取得、就労、納税の義務などを条件に、在留特別許可を出せないものかと思いますが、私が甘いでしょうか。

技能実習生という制度も、多分に矛盾を抱えていて、外国人就労者に給与が渡るまでに複数の団体からピンハネされる仕組みですから、企業にとっても就労者にとっても良い制度とは思えないのですが、あくまでこちらが合法。

就労しようとする外国人の方には、日本政府ってのは非常に厳しいですが、法務大臣という政治家の一存で外国人の入国の是非を決められるという事は、現状が世論って事なのだと思います。残念ながら。

「外国人には本当は来てほしくないけど、仕方ない」という意識が変わらないと、不幸な事件は起き続ける気がします。